インタビュー
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私自身も難聴があります。自分と同じ病気で苦しむ人の役に立ちたいと思い、耳鼻咽喉科の医師を志しました。
「聞こえが悪い」「飲み込みづらい」など、耳鼻咽喉科で診る領域は命にかかわるものではなくとも、生活の質に直結する大切なものです。少しでも患者さまの生活が豊かになるよう、お手伝いができればと思います。
医師を志された理由や、その中でも、耳鼻咽喉科を選ばれた理由を教えてください。
昔からよく病気にかかり、病院とは何かと縁がありました。高校生のころ1カ月ほど入院したときに、お世話になった先生から医師になるようにすすめられたんです。入院したのはちょうど高校2年生の3学期、進路を考える時期でした。先生の後押しもあり、入院する1カ月の間ずっと医療の現場に身を置く中で、はじめて医師の道を考えるようになりました。医師として働く先生方に憧れを抱いたんです。
そのなかで耳鼻咽喉科を選んだのは、私自身が難聴だからです。小さいころから耳鼻咽喉科は身近でしたし、生活の中で患者さまが困っていることが自分の経験からもよく理解できます。自分が抱えている疾患で苦しんでいる人の役に立てたらという思いがありました。
診療のモットーや、やりがいを教えてください。
耳鼻咽喉科というのは、命にかかわるような疾患を扱うわけではないのですが、「聞こえにくい」「のどが痛くてご飯が食べられない」というのは、患者さまの生活の質にかかわる大事な部分だと思うんです。とくに聞こえに関しては、少し処置をしたりちょっとしたアドバイスをしたりするだけで、ガラッと生活がしやすくなることもあります。難聴で家にこもりがちだった方が、外に出られるようになって楽しそうに過ごしている様子を聞くと、やはりうれしいですね。患者さまの生活の質を少しでも改善することができると、励みになります。
初めて来院された患者様に対して心がけていることがあれば教えてください。
はじめての方はとくに緊張されていると思うので、笑顔でやわらかく接するようにはしています。お子さまも多いですから、怖がらせないように診察するときには声をかけながら行います。
それと、わかりやすく説明をすることも大事だと思います。説明するのはもちろんですが、「この治療をすればこうなる」「病状によっては、こうなることもあるのでそのときは早く来てください」というふうに、病状の見通しについてもお伝えするように心がけています。先に聞いておけば、たとえ悪くなった場合でも、また相談に来たり様子を見たり、患者さまが慌てずに対処できるからです。治療を進めるうえで患者さまに余計な不安を抱かせないように、説明は丁寧にしていますね。
今後力を入れていきたいと考えている治療、検査設備についてどんな検査ができるのか教えてください。
現在も行っていますが、小児難聴と嚥下障害です。小児難聴に関しては生まれたばかりの乳児から聴力検査ができる設備を整えており、言語聴覚士もおりますので言葉や発音の検査まで可能です。難聴は障害のひとつですが、これから社会の担い手になる子どもたちが、障害があってもそれを感じさせずに活躍できるレベルにまで持っていきたいという思いがあります。
一方、高齢になるとさまざまな疾患を抱え、本人もまわりの方も病気のことばかり考えてしまって、「食べること」を後回しにしてしまいがちです。そうではなくて、食べ物をおいしく食べたり、人と楽しく話をしたり、少しでもいまの生活の質を豊かにしてあげられればと思い、嚥下障害にも力を入れています。携帯用の検査機器もそろえ、訪問診療も行っています。地域柄お年寄りも多いので、意欲的に取り組んでいきたいと思います。
患者さんにメッセージをお願い致します。
先ほどもお伝えしたように、耳鼻咽喉科の病気は直接命にかかわることはほとんどありません。そのせいか、日常生活で困っていることがあっても「年齢だから仕方ない…」とあきらめてしまう方も多いと思うんです。「聞こえが悪い」「耳鳴りがする」など、お困りのことがあれば、相談してもらうだけで改善する可能性はありますので、気軽にお越しいただけたらと思います。